相続人が海外に住んでいる場合の対処法
ある個人が死亡したのち、その相続分を確定させるため戸籍の調査が行われます。
相続人が日本国内に住んでおり戸籍が存在している場合であれば、その調査は簡単です。
遺産相続を複数の人間で行う場合には、遺言書の内容を忠実に実行するために弁護士など専門知識を持った代理人を立てることが一般的です。
その場合、戸籍上親子となっている人に対し法律で定められる相続分を通達し、それを相続または放棄するかという連絡をとっていくことになります。
被相続人が亡くなってから判明する財産などもよくありますが、基本的にその資産が日本国内にある場合には相続財産としての計算はしやすく、だいたい2ヶ月くらいの間に故人が所有していた財産および相続権がある人は判明します。
しかし相続人や相続財産が海外にあるという場合にはまた事情が変わってしまうでしょう。
まず相続人が相続発生時に海外にいる場合ですが、この時には各国の日本領事館を通じて本人に連絡をとり、そこで相続をするか放棄するかという意思表示をすることになります。
領事館を通じて相続の権利について正確な情報を伝達しあい、最終的にどのようにするかということを話し合いでまとめていきます。
最終的に話がまとまったときには遺産分割協議書を作成し、そこにサイン証明をすることで国内にいるのと同様に遺産協議を行うことが可能です。
相続財産が海外にあった場合には
もう一つ大きな問題となるのが、相続財産が海外に存在していたという場合です。
ここ近年ではインターネットの普及により、外貨や海外の不動産など簡単に購入することができるようになりました。
その一方でテロ対策など本人以外の人による資産の処理については厳しい制限がされているということもあり、相続財産として残った資産が日本に住む人に簡単に継承されないということもよくあるのです。
日本国内以外に存在している銀行財産や不動産について、その処理の方法は各国により大きく異なっています。
比較的日本と交流のある欧米諸国であっても、相続をするためには領事館を通じて証明書をやり取りするなど、かなり面倒な手続きが求められることもあります。
最もよいのは生前より海外の不動産など資産を所有していることをあらかじめ相続人に伝えておき、相続手続きを連絡しておくということなのですが、なかなかそういう訳にはいかないでしょう。
しかし相続の問題は一概にこうであると言えるものではなく、政治状況によって日本人の扱いも大きく変わってきます。
今後海外で資産を所有したいという場合には、そうした法的処理について事前にしっかり確認をし、確実に相続ができる代理人を選んでおくことが勧められます。