生前整理の目的
終活の基本中の基本といえるのが生前整理です。
生前整理の方法については多くの終活マニュアルやセミナーで解説されており、それぞれの家庭環境や持っている財産により取れる行動が変化してきます。
生前整理がなぜ重要かというと、それは自分の死後発生する相続における権利関係をはっきりさせることができるからです。
相続は「争続」と言われることもあるほど、非常にトラブルのもとになりやすいものです。
それまでは比較的よい距離感で親類関係をしてきたはずの家族が、相続が発生した途端に絶縁状態になるということも珍しくありません。
相続の対象となる親や祖父母が生きている時にはその意向が確認しやすく、きちんとした力関係で財産が維持されているのですが、それが死亡という事実により人間関係が大きく崩れてしまうことが原因です。
「自分には相続するような財産もないから」と考えている人も、生前整理として一度自分の財産目録についてはしっかりまとめておくようにしましょう。
相続対象となるのは財産だけでなく「権利」も含まれます。
自分の名義で行っている権利関係や借金なども相続として子供や孫などに引き継がれてしまいますので、まず漏れのないようにしっかり状況把握をしていくようにしましょう。
生前整理をするメリット・デメリット
生前整理の基本は「財産目録の作成」と「権利書類の名義確認」です。
さらに遺産相続で発生する財産については、生前贈与として譲れる部分は先に相続権を持つ人に渡しておくと、後に発生する相続税をへらすための対策になります。
特に注意したいのが電子文書として発生している証券類で、ネット証券で株取引をしていた人などはその名義やログイン情報などをきちんと残しておかないと、あとから処理をすることができなくなります。
もう一つ、生前整理としてやっておきたいこととして持ち物の整理があります。
ハウスクリーニングとして「生前整理」が提供されていることもあり、古い家屋や蔵の中を整理して必要に応じて廃棄や売却をすることで、亡くなってからそれらを処分する手間が省けます。
生きているうちに自宅の住環境をスッキリさせておくことは、残りの人生を快適に過ごすためのきっかけにもなります。
いらないものをしっかりと捨てて、今必要なものだけに囲まれて生活をすることで、結果的に寿命を伸ばしたり健康を増進したりすることができるものです。
生前整理のデメリットはほとんどないのですが、手続きを身近な相続権者とだけ進めてしまうと、あとから相続時にその分を差し引くようにという争いが起こることがあります。
生前整理をする時にはなぜそれをするのかという説明をきちんとし、場合によっては第三者を入れて公平に行うようにしましょう。