SNSは便利なツールですが、SNS上のアカウントの中にはすでに亡くなっている人のアカウントも少なくありません。やがて生きている方のアカウントよりなくなっている人のアカウントの数が逆転するのも時間の問題です。もしかしたらすでに、逆転しているかもしれないと思っている人もいるでしょう。では、亡くなってしまったらSNS上にあるアカウントはどうなるのでしょうか?ここでは近年問題になっているデジタル遺品に焦点を当てて解説しています。
近年問題になりつつあるデジタル遺品
スマホにパソコン、タブレット。近年はデジタル端末の普及率が8割を超えています。スマホを活用する高齢者も少なくありません。そんな中見逃せないキーワードが「デジタル遺品」です。デジタル遺品とは、個人のスマホやPCの中にある実体のないデータのことを指し、個人の認証がなければアクセスできなくて今問題になっています。その中の筆頭はSNSアカウントです。
亡くなった後のSNSアカウントはどうなる?
だれかを失くしたときtwitterなどアカウントがどうなるのか些細なことかもしれません。ですが、ソーシャルメディアの記録はデジタルのため半永久的にネット上に残ります。人がなくなった後のアカウントはどうなるのでしょうか?
放置することで、アカウントが乗っ取られる
twitterは2019年11月に6カ月以上使用されていないアカウントを段階的に削除するとの方針を出しましたが、その後、非アクティブなアカウントは削除しないと話題になりました。理由は故人のアカウントに配慮したためです。しかし、アカウントにログインしないで長期間放置しておくと、なりすましや個人情報の漏洩といったリスクにさらされる可能性があります。アカウントの乗っ取りは故人に限った話ではなく、アカウントを放置しているすべての人に共通して言えることです。
SNSに公開している情報が悪用される
放置されたSNSのアカウントというのは勝手に削除されることはありません。そのため、ネット上に残ったSNSの公開情報を悪用しようとする人も出てきます。例えば、SNSによっては、居住地、出身地学歴などを公開している人も少なくありません。公開されたアカウント情報から他人になりすましたアカウントを作り、犯罪に利用するケースもあります。本物に近いアカウントを作ることで、有料サイトやワンクリック詐欺の誘導に悪用するのです。故人の放置されたアカウントの悪用は気付きにくく被害が拡大する恐れがあります。
故人のSNSアカウントが放置される理由
犯罪に利用される危険があるにもかかわらず個人アカウントは何故放置されるのでしょうか?先ほども紹介しましたが、twitterが使用されていない休眠アカウントを削除しようとしました。しかし、ネットから反対の声が上がり、いったん取り消されることになりました。批判の内容は、故人が残した現生の思い出を消さないでほしいとのこと。SNSの登場は個人が確かにこの世に存在した証明になります。ちなみにユーザーから一番多かった意見は、そういった情報を消すと故人とのつながりが消されることだそうです。
故人のネットサービスについて取れる各種SNSサービスの対策
SNSに登録された内容を更新するには登録したユーザー本人がアクセスしなければなりません。しかし、亡くなってしまうとさまざまな理由からアクセスできなくなります。各SNSの対応状況を見ていきましょう。
twitterでは、権限がある故人の家族または遺産管理人であれば、アカウントの削除依頼をできます。「プライバシーポリシー」から故人が使っていたアカウントの削除をリクエストしましょう。リクエスト後は、そのリクエストが本物かどうかチェックするために、故人の証明書のコピー、死亡証明書のコピーと削除依頼をした人の身分証のコピーを求めるメールが送られてきます。
Facebookは二通りの方法を用意しています。1つは、故人アカウントを追悼アカウントへ移行すること、もう一つは、削除です。追悼アカウントにするには、亡くなった方のアカウントを思い出としてシェアします。こうすることで、他の利用者からのログインを防げるため、アカウントの悪用を防止できます。方法は、「追悼アカウントのリクエスト」から追悼アカウントへ移行申請をできます。リクエストの際には、亡くなった人の死亡診断書や死亡記事など死亡を証明できる書類が必要になります。
また、Facebookアカウントを削除するには「亡くなった方のアカウントに関する特別リクエスト」が必要になります。これにもアカウント所有者の死亡を証明する書類が必要になってきます。
InstagramもFacebookと同じように削除または、追悼アカウントへの移行が可能です。アカウントを削除するには、故人の近親者である事実を証明できる人だけが、アカウント削除のリクエストを依頼できます。申請方法は「亡くなった方のInstagramアカウントの削除要請」からリクエストを送りましょう。アカウント削除申請には、故人の出生証明書、死亡診断書が必要になります。
追悼アカウントへの移行は亡くなった人の近親者であれば、「亡くなった方のInstagramアカウントを追悼アカウントにするための報告」からリクエスト可能です。申請の際には、死亡を証明する書類が必要になります。(死亡記事や死亡証明書など)
LINE
LINEは日本で最も使用されているSNSサービスです。日本国内で使用している人が多いため、LINEの個人アカウントの閉鎖方法は、直接遺族から問い合わせる必要があります。Facebookのような追悼アカウントがないのは、アカウントを作成した本人しか利用できないためです。アカウントの閉鎖は、お問い合わせフォームから直接します。何も手続をしないとそのままアカウントが残り不正に利用される可能性もあるので注意しましょう。
googleアカウント
googleアカウントは他のアカウントと違い、生前に死後のアカウントについて設定できます。これを設定するには「アカウント無効化管理ツール」の機能を使用します。この管理ツールを使うと一定期間アカウントの利用がないと自動的にアカウントやデータを削除したり、残っている情報を特定の人に贈ったりするように設定可能です。
亡くなった人のSNSアカウントの対応
故人が亡くなった後も、次々に知り合いからメッセージが来るでしょう。そのメッセージに答えてもいいのでしょうか?
各SNSの利用規約を確認する
すべてのSNSアカウントでは、そのアカウントを利用できるのは本人であると利用規約に書かれています。つまりメッセージが来ても勝手に返信してはいけません。なぜならSNSの利用規約に違反すると刑事罰に問われる可能性があるからです。スマホなどのロック解除方法を知っていてもSNSには触らないようにしましょう。
ログインをしない
いくら家族であっても自分のものでないアカウントにログインすると、SNSの利用規約違反どころでは亡くなってしまう可能性があります。特に法律に厳しいFacebookなどの外資のアカウントにログインするとアメリカの連邦法を犯すことにもなりかねません。また、日本でも刑事罰に問われる可能性もあるので、ログインは絶対しないようにしましょう。
亡くなったことを報告する方法
故人が亡くなったことを報告する方法はいったい何がいいのでしょうか?すぐにSNS上に訃報をアップロードしたい気持ちはわかりますが、それはNGです。手順をおって故人が亡くなったことを報告しましょう。
亡くなったことをSNS上で発信しない
SNSで発信すると、どんな反応が返ってくるのか心待ちにするもの。しかし、故人が亡くなったことをSNSで発信するのは得策とは言えません。なぜなら、亡くなったことで、法律的に財産分与権を持つ人が発生して、トラブルになる可能性が大きいからです。
まずは親近者にSNS以外でお知らせする
では、故人が亡くなった場合の連絡手段として正しいものはどのようなものになるのでしょうか?まず、近親者に電話または手紙で故人が亡くなったことを伝えます。その後に葬儀で亡くなったことを口頭で伝えることになりますが、最近では少人数でのお葬式をする人が少なくありません。家族葬もその中の一つになります。家族葬の規模は数人~十数人程度です。近親者にお知らせするのにはちょうどいい手段でしょう。
まとめ
現代ではSNSに個人情報を載せることが当たり前になっています。今後SNSアカウントを持った人が亡くなるにつれて故人SNSの対応問題が増えてくるでしょう。故人とのつながりを大切にするあまりアカウントを放置すると不正アクセスにあったり、個人情報を悪用されたりします。そのため、「もし」を考え、死後のSNSアカウントをどうするか家族と話し合っておくといいかもしれません。