変わる葬儀の役割と形
人が亡くなった時に行われる葬儀ですが、ここ近年急激にその役割が変化してきています。
葬儀を開く目的として「遺体の処理」「死者の弔い」ということの他、「社会への告知」や「残された人たち同士の感情の共有」が挙げられます。
かつて地域の共同体内の関係が濃密な村社会が形成されていた頃は、そこに更に「その家の後継者を周囲に告知する」ということも葬儀における重要な役割となっていました。
葬儀において遺族から「喪主」をつけるという習慣も、もともとは亡くなった人の後継者が誰であるかを示すためのものだったのです。
ですが現在では「家」という観念が希薄となり、葬儀も家庭や地域共同体のために行うという意識よりもむしろ遺族や知人などプライベートな人のために行うという意味が重要になってきました。
特にここ10年くらいの間で葬儀は急激に縮小型が希望されるようになってきており、現在も「家族葬」や「密葬」といった地域コミュニティに改めて告知をしない式が増えているのです。
当然葬儀にかかる費用も年々平均額が低下する傾向にあり、かつては200万円近くかかるのが当然であった葬儀も、数十万円くらいに収まるプランを最初から希望する人が多く見られるようになっています。
現在の全国の葬儀にかかる費用の平均は188.9万円となっていますが、その中には数百万円単位で行う大きな葬儀と数万円~数十万円くらいの小さな葬儀とが幅広く含まれています。
葬儀の事前相談も今では当たり前に
ここ近年増えているのが葬儀の事前相談です。
これも地域コミュニティと葬儀の関わりが希薄になったことが関係しています。
以前は葬儀の手順も相場も地域によって常識が決まっていましたが、それが崩れたことにより葬儀にかかる費用もバラバラになってきました。
そこであらかじめ葬儀にいくらくらいかかるのかということを算出し、そこから遺族に残す財産を計算する「終活」も当たり前になってきています。