日蓮宗の葬儀の特徴について

日蓮宗の葬儀特徴

日蓮大聖人による法華経の宗派

日蓮宗は鎌倉時代に発生した宗派の一つで、日蓮大聖人が自らを仏から救済の使命を託された菩薩である「お祖師さま」であるとして体系が作られたものです。

仏壇には日蓮像が飾られており、「南無妙法蓮華経」というお題目を唱えることで誰でも成仏をすることができる、というシンプルな教えであることが特徴です。

もともと日蓮は天台宗や真言宗などの密教を学んだ僧侶でしたが、修行の中で自らこそが救済をすることができる仏の化身であるということで新たな宗派を作りました。

平安時代末期~鎌倉時代にかけては非常に多くの宗派が誕生したのですが、法然が「南無阿弥陀仏」とう専修念仏を唱えたのに対し、日蓮は「南無妙法蓮華経」という法華信仰を選択しました。

日蓮宗が広まる前までは、この専修念仏による浄土教と日蓮による法華信仰は明確な区別がなく一般庶民はどちらとも言えない信仰をしていることも多かったのですが、日蓮宗が広まるにつれこれらは大きく宗派を違えることとなりました。

そのため日蓮宗による法要においては「南無妙法蓮華経」という独自の経典が用いられることとなっており、また法華経を守護する諸仏諸尊の名前を独自の文字で記した曼荼羅が祭壇部分に掲げられるというのも大きな特徴です。

頻繁に登場する「南無妙法蓮華経」

日蓮宗においては「南無妙法蓮華経」という言葉に信仰の功徳が全て含まれているとされているため、葬儀の席においてもこの言葉は頻繁に登場してきます。

日蓮宗では数珠の形にも大きな特徴があり、他の宗派に比べてかなり大きな輪をしたものが葬儀では用いられます。

数珠には108の普通珠と4つの中珠、2つの大珠をつなぎ合わせており、僧侶用の「装束数珠」と一般用の「勤行数珠」とで若干作りに差があるのです。

珠の材料はいくつかあり、香木や梅、黒壇、菩提樹といった木製の珠を使うものから、水晶や真珠、珊瑚、象牙、各種石材などさまざまなタイプが販売されています。

中でも最も高級とされているのは白水晶の珠のものですが、一般の信者ではあまり華美な印象とならない木製のものが好まれている傾向です。

数珠の持ち方にも非常に特徴があり、合掌をするときには数珠の房を下側にして左手にかけるのが一般的なのですが、法要などの特別な場面においては数珠を両手の中指にのみかけて真ん中で一度ねじります。

焼香は導師のみが三回行い、一般参列者は一度のみとするよう決められています。
自分の順番が来たらまずは焼香台の前で合掌と一礼し、右手の二本の指でかるく抹香をつまんで静かに火種に注ぎます。

最後に再び合掌をして一礼をしてから席に戻ればよいので、他の宗派に比べてかなり簡単に感じられるかもしれません。